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ナナの母性愛

 仔犬が生まれてから7日目の夜、ナナが突然発作のようなものを起こしました。激しいしゃっくりのようなものが止まらなくなったのです。病気らしい病気を今までしたことのない、すこぶる健康であったナナ。ナナが病気?仔犬を遺してナナが先に逝ってしまっては大変!と、知り合いの獣医さんに電話をしましたら、恐らく産後のカルシウム不足によるショックかも?とのこと。

 獣医さんの勧めで、牛乳に砂糖を混ぜて、たくさん飲ませましたら、30分後くらいに収まりました。

 ナナは、仔犬が生まれてから、とても献身的に世話をしてきました。もともと散歩が大好きなのに、散歩に連れ出しても気がそぞろ。あまりにも気乗りがしない様子なので、散歩の代わりに庭でおしっこをさせると、一目散に玄関に駆け戻り中に入ろうとします。仔犬が心配で心配でたまらないのです。

 生まれた時、仔犬の羊膜を上手に取って食べ、へその緒もお腹ギリギリまで食べ縮め上手に食いちぎり、生まれてからは、お尻をなめて排泄物を食べ、トイレシートに落ちたウンチは全部食べ、体中舐めてやり、おっぱいの時間には、飲み終わるまでじっと横たわり、仔犬にとって良いと思われることは、全部やっている、という身を粉にしての育犬でした。

 生後数週間を過ぎて、離乳食の時期が来ると、ナナは自分が食べた物を吐いて、離乳食として与え始めました。ナナ自身、相当お腹がすいて、栄養不足であるにもかかわらず、常に仔犬のことが最優先でした。次第に、ナナの毛は薄くなり、ふさふさだった尻尾の毛は、ほとんど中の尻尾の形が透けて見える程になりました。

 ナナのドッグフードには粉ミルクを混ぜ、毎日のように牛肉をやり、栄養のあるものをたっぷり食べさせました。仔犬には、私たちがドッグフードをふやかした離乳食を作って、1日何回も与えました。それでもナナは、折角食べた物を吐いて与え(胃で消化させ吐いたものが、自然界では離乳食だったのですね!)、自らは痩せていきました。離乳食の時期が長く続くと、ナナが弱ってしまう、そんな危機感さえありました。

 自らのことを省みず、何よりも仔犬のことを第一に考えて行動するナナ、人間の母親でもこれ程は出来ないのでは!?と思ってしまいました。

 篤志の方々のご寄付により、フォルテピアノが、西方音楽館 木洩れ陽ホールに設置されました。
 クリストファー・クラーク1994年製
(A.ヴァルター1795年モデル)
 故小島芳子愛用の名器



 





「3本足のルー」が完成しました。ルーが教えてくれたことは、「子供が育つ」ということ、さらに「人間が育つ」ということへの、励ましとヒントになりました。