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術後のケア

 術後のケアは、想像を絶する大変さでした。

 包帯は、残っている太ももをすっぽり包み、最後がお腹で止まるように巻かれているのですが、手術から帰った翌日、ルーが動き回ると、太ももの包帯はスルッと抜けてしまったのです。形からすれば太ももは逆三角形。上が底辺、下が頂点なので、ルーが動き回ると、太ももをくるむ包帯はいとも簡単に抜けて、お腹の横あたりに逆三角形の包帯がぶら下がった状態となるのです。

 包帯が抜けると、縫ってふさいである傷口が顕わとなります。傷が顕わとなると、エリザベスカラー(傷をなめないように、犬の首の周りにつけるガード。形が昔のエリザベス女王のドレスの襟のような形)をつけていても、体の柔らかいボーダーコリーは、傷に口が届きそうになります。ボーダーコリーの体の柔らかさは、猫なみなのです。

 傷をなめて、縫合した傷口が開いてしまうのは、断脚するずっと前、生後間もないころから何度も経験しています。傷が開くたびに、縫合を繰り返し、ルーも我々もほとほと参ってしまいました。今度もまた同じことになったら一大事です。傷が開くことの無いように、縫合個所が包帯で巻かれている状態を保たせなくてはりません。

 手術の翌日、慌てて動物病院に飛び込み、包帯を巻き直してもらいました。今度こそ抜けないように、と丁寧に念入りに巻き直してもらいました。しかし、家に戻ってしばらくするとまた抜けてしまいます。

 家事の合間、ピアノを教える合間、包帯の具合を確かめ、他の犬たちを散歩に連れ出せば、帰るまで気が気では無く、真っ先にルーの包帯を確かめます。いつも包帯のことを気にかけ、家で抜けると私が入れ直し、抜けると入れ直しを繰り返し、でも一度抜けてしまうとそのままではまたすぐ抜けてしまうので、毎日のように動物病院に通いしっかりと巻き直してもらっていました。

 毎日細心の注意を払い、緊迫した日々が続きました。2週間経ち、抜糸が無事すんだ時には、重い荷物を抱え長い坂道をやっと登り終えた時ような開放感がありました。

 篤志の方々のご寄付により、フォルテピアノが、西方音楽館 木洩れ陽ホールに設置されました。
 クリストファー・クラーク1994年製
(A.ヴァルター1795年モデル)
 故小島芳子愛用の名器



 





「3本足のルー」が完成しました。ルーが教えてくれたことは、「子供が育つ」ということ、さらに「人間が育つ」ということへの、励ましとヒントになりました。