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ルーちゃんの意志

その1
 11月を過ぎて、寒くなり始めると、夫が朝の散歩に犬たちを誘っても、ルーだけ聞こえないそぶり。たいてい2階寝室、私のお蒲団の上で、「我、関せず」、とまあるくなって寝ています。
 ある朝、おばあちゃんが起きてくるごそごそした音で、「何事ぞ!」とうっかり1階リビングへ降りてきてしまったルー。それを夫に見つかり、夫に促されしぶしぶ玄関に。
 玄関でリードをつけられている真っ最中のルーに、「ルーちゃん、本当に行くの?」と私が聞くと、私の方を振り向き、目と目が合いじっと見つめられました。「助けて!」と訴える目。「捕まっちゃったら仕方が無いね!行っておいで!」と送り出しました。
 母犬のナナより一回り小さく、皮下脂肪が少なく、一番痩せているルー。寒さが身にこたえるのです。

その2
 毎日早朝、夫は犬たちをトイレのため庭に出すのですが、ルーはたいてい行きません。寒い冬は絶対行きません。
 ある冬の朝、ナナが私の腕枕で寝ていると、早朝のトイレタイム。夫の呼び声にナナはお蒲団から出て、1階へ降りて行きます。つとむも、すぐついていきます。
 でも「ルーは絶対行かないからね!」と、盛んに尻尾を振り、しきりに私の顔をなめます。と、今までナナが入っていた私の蒲団の中のちょうど同じ場所に潜り込み、私の腕枕で寝始めました。
 ナナがトイレから帰ってくると「入れて!入れて!」とベットの下で尻尾を振っています。一瞬思案した揚句、ルーを下の方、私の足の方に押し下げ、ナナの場所を作り、「おいで!」と入れてやりました。ナナは再び私の腕枕。
 ルーは、ナナのわき腹あたりを枕に顔を載せ、2匹は一体化し、一つの抱き枕に変身しました。ふわふわの長―い、生きた抱き枕に。

その3
 夜寝る前、11時頃も、トイレのため庭に出します。
 つとむは、待ってましたとばかりに、あちらこちらの木にマーキング。ナナは、し心地の良さそうなところをあちこち探してからしゃがみこみます。
 ルーは?たまに、うっかり外へ出てしまうと、この時ぞとばかりに探検を始めてしまいます。トイレをしたのかどうか、木々が邪魔で確認できません。
 しばらく放しておいてから「おいで!」と呼ぶと、真っ先に飛んでくるのは、つとむ。案外従順なのです。ナナも、トイレの後は探検を始めてしまいますが、のったらくったら、しぶしぶ戻ってきます。
 ルーは?ルーは呼んだくらいでは戻ってきません。「ルーちゃんおいで!」と、かなりきつい口調で、叱るように、何度も何度も怒鳴らないと戻ってきません。
 ルーには、「自分の意志」というものが、かなりしっかりあるのです。だから従順ではありません。嫌なのもは「いや!」とはっきり意志表示します。
 ある寒い晩、夫がいつものように、犬たちを外へ出し、呼びもどしてリビングに入れ、2階へ上がり休みました。私はその後お風呂に入りました。お風呂からあがるとS君が厳しい顔で近づいてきます。
 「ルーが締め出された!体が冷たくなった。死んじゃうじゃないか!」と。疲れて、早く寝たい夫。確認を忘れたようです。約40分間、呼ばれてもすぐには絶対戻らないルーちゃんは、冷え込んだ庭でどう過ごしていたのやら・・・・

 篤志の方々のご寄付により、フォルテピアノが、西方音楽館 木洩れ陽ホールに設置されました。
 クリストファー・クラーク1994年製
(A.ヴァルター1795年モデル)
 故小島芳子愛用の名器



 





「3本足のルー」が完成しました。ルーが教えてくれたことは、「子供が育つ」ということ、さらに「人間が育つ」ということへの、励ましとヒントになりました。