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西方音楽館友の会 第35回コンサート

ペダル付きクラヴィコードがバッハ演奏史を更新する

西方音楽館友の会 第35回コンサート
大井浩明
ペダルクラヴィコード・リサイタル

大井浩明(クラヴィコード)

チケット
前売り¥3,500(当日券4,000円。)
※未就学児の入場不可。要予約。
日時、会場
10 23日 (日) 14 : 00 開場 14 : 30 開演

西方音楽館 木洩れ陽ホール

10 31日 (月) 18 : 00 開場 18 : 30 開演

東京オペラシティ 近江楽堂

曲目
J.S.バッハ(1685-1750):
トリオ・ソナタ集《BWV525-530》
(全6曲)(1730)、
パッサカリア ハ短調 BWV582(1712)
お申込
■西方音楽館 ※会員の方はこちらまで
TEL:0282-92-2815/090-5535-9857(中新井)
E-mail: info@wmusic.jp
近江楽堂(松木アートオフィス)

03-5353-6937(近江楽堂公演のみの取扱)

■栃木県総合文化センター

TEL:028-643-1013

■宇都宮市文化会館

TEL:028-634-6244

■栃木市栃木文化センター

TEL:0282-23-5678

製作うらばなし

クラヴィコードは今まで共有弦型、占有弦型合わせて30台近くを製作してきたが、ペダルクラヴィコードは今回初めてであった。ペダルクラヴィコードの歴史としては14世紀にすでにその存在を示唆する文献が残っている。現在残された歴史的な楽器としては1760年のGerstenberg, 1815年のMarckhert, 1844年のGlück製作によるものなどがいずれもドイツに保存されている。ザクセンのドレスデンとライプツィッヒのちょうど中間にあるゲリングスヴァルデのGerstenbergの楽器は手鍵盤2段と16フィートの付いた足鍵盤を備えたオルガン製作者Gerstenbergならではの作品でその大きさ、構成からひときわ存在感のある楽器である。

この楽器に関しては近年ヨーロッパを中心に数台の復元楽器が製作されている。ヨーテボリのオルガン研究所のJoel Speerstraの描いた図面には有用な情報が多く含まれており、製作に当たっては大いに参考にさせていただいた。しかしながら、図面に表し切れていないか、あるいは理解しきれない箇所があり、どうしてもオリジナルを見ないと正確な復元は難しいと判断し、以前にサルテリオの採寸などで便宜を図っていただいた、ライプツィッヒのGRASSI博物館のMarkus Brosig氏に再び調査依頼をしたところ、そういう仕事なら、誰にも邪魔されない休館日の月曜日に来ると良いといって休みの日にわざわざ開けていただいた。そればかりでなく、Speerstraが同楽器の調査をしたときの指導教官であるエディンバラ大学のJohn Barnesが独自に書いたこの楽器に関する研究論文とその時に撮影した大量の写真のコピーを取らせていただいた。

オリジナル楽器に当たらなければなかなかわからないことの一つに弦張力による楽器の変形という問題がある。John Barnesはこのことに関しても研究論文の中で彼が調査した時の変形量を記述している。そして、今回実際の楽器に当たってそれを確かめることが出来た。2台の手鍵盤楽器と16フィートを含む足鍵盤楽器はいずれも1台当たり約100本の弦が張られており、弦による張力の総和は1台当たり500Kgほどになる。クラヴィコードはその構造上弦の張力によって楽器の底板が、下に凸になるように変形する。その変形量がわかっていれば、組み立てる前にあらかじめ底板を反対向き、すなわち底板を下の面がへこむように弓なりに変形させておくことが出来る。足鍵盤楽器については全長が長いので、あらかじめ変形させておくだけでは長い年月のうちに変形が進む可能性を考えて、オリジナルには無い補強を入れた。

ザクセンの楽器の多くは広葉樹を使っているが、この楽器は針葉樹を用いている。今回の製作に当たっては、近くに住む古民家移築なども手掛ける若い大工の資材置き場に長い間眠っていた十分エージングされた木材を使うことが出来たのは幸運であった。

最後に今回この復元製作の機会を与えていただいた西方音楽館の中新井紀子さん、横山博さんに感謝します。

小渕晶男
1969年よりチェンバロの製作を始め、75年にヨーロッパ各地の博物館や製作家を訪ねて以来、歴史的な楽器から学ぶ事を基本に現代に残る歴史的楽器のレプリカ、および時代的地理的に特徴付けられるスタイルの範疇の中で製作を行っている。 復元製作にあたっては、オリジナル楽器の外面的な再現だけでなく、製作者の製作意図を復元することが出来ればそれが理想と考えている。全ての工程において常に最終的な音のイメージを持ちながら作業を進めることを心がけている。 1993年にレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿に見られるヴィオラオルガニスタ(ガイゲンヴェルク)の試作を行って以来、音程とダイナミックスを奏者がコントロールできる鍵盤楽器への素質を持ったこの楽器に対する夢を捨てきれずに継続的に擦弦鍵盤楽器の研究と製作を続けている。バロック時代の打弦楽器サルテリオや15世紀に描かれたチェンバロやピアノの源流と考えられる弦を弾く叩くの双方を備えた、クラヴィシンバルムの製作も行っている。
1971年日本大学大学院理工学研究科修士課程修了。音響メーカーにて電気音響変換機の研究開発、多国籍サービス会社にて石油、天然ガスの音響探査機器開発に従事。その後、携帯電話事業者に勤務の後2004年退職して以降、この間限られた時間を活用して継続してきたピリオド鍵盤楽器の研究および製作に専念。現在はクラヴィコードを中心に製作を行っている。
American Musical Instrument Society会員
http://obuchi.music.coocan.jp/

大井浩明(クラヴィコード)


 京都市出身。スイス連邦政府給費留学生ならびに文化庁派遣芸術家在外研修員としてベルン芸術大学(スイス)に留学、同芸 大大学院ソリストディプロマ課程修了。チェンバロと通奏低音をディルク・ベルナーに、オルガンをハインツ・バッリ、ダニエ ル・モレの両氏に師事。ミクローシュ・シュパーニ、ルイジ・フェルディナンド・タリアヴィーニ、ヤン・ヴィレム・ヤンセン 等の講習会を受講。
 ヒストリカル・クラヴィコードにおいて世界的に最も意欲的な活動を行う奏者の一人であり、NHK-BS「クラシック倶楽部」 にてベートーヴェン:《選帝侯ソナタWoO47》が放映された他、リサイタルではJ.S.バッハ:《平均律クラヴィア曲集第1巻》(全 曲)、《同第2集》(全曲)、《6つのパルティータ》、《ゴルトベルク変奏曲》《フランス序曲》《イタリア協奏曲》、《イ ギリス組曲》(全6曲)、C.P.E.バッハ:《ヴュルテンベルク・ソナタ集》(全6曲)、ハイドン:《エステルハージ・ソナタ集》 (全6曲、レクチャー/伊東信宏)、モーツァルト:連弾ソナタ集K.19d/K. 381/K.358/K. 501/K. 521 (共演/上尾直毅)等を取り上げている。J.S.バッハ:《フーガの技法》(全曲)のヒストリカル・クラヴィコード(ヨリス・ポトフリーヘ製作ザクセン様式専有弦モデル)による世界初録音CDは、 国際的に高い評価を得た(2008年9月/ベルギー・聖セルヴァティウス修道院)。また、バッハのクラヴィコード教授法に関するフリードリヒ・コンラート・グリーペン ケルの記述(1819)ならびにミクローシュ・シュパーニによる注釈(2001)を邦訳し(2004年6月)、雑誌《ムジカ・ノーヴァ》等やウェブ上で奏法論についての考察も発 表している。2014年3月には、クラヴィコード独奏のための福島康晴《楽興の時》(全3楽章)の委嘱新作初演を行なった。
 オルガン奏者としては、クセナキス:《グメーオール》日本初演(川口リリアホール)がTV(CX 系「とくダネ!」)・雑誌(週刊新潮他)で広く紹介され、サン サーンス:交響曲第 3 番《オルガン付き》独奏(大阪、ザ・シンフォニー・ホール)、ジャン・ギューらと参加したデュドゥランジュ大聖堂オルガンフェスティヴァル でのリサイタル(ルクセンブルク)、京都大学創立記念行事音楽会でのリサイタル(ヴィドール:《オルガン交響曲第 6 番ト短調》他、京都コンサートホール大ホール)、 オムロン・パイプオルガン・コンサートシリーズでのリサイタル(J.S.バッハ:《ドイツ・オルガン・ミサ》全曲、京都コンサートホール大ホール)、委嘱新作初演を中 心としたリサイタル(シェーンベルク:《レチタティーヴォ主題による変奏曲 Op.40》他、淀橋教会小原記念聖堂)、中全音律バロック・オルガンによるフレスコバル ディ:《音楽の花束》全曲公演(日本基督教団本郷教会)等を行っている。
公式ブログ: http://ooipiano.exblog.jp/

ペダルクラビコード
復元製作にあたって
小渕晶男


 モデルとなったヨーハン・ダーフィット・ゲルステンベルクによって1760年に製作されたとされる楽器は現在ライ プツイッヒのグラッシ楽器博物館に比較的良い状態で保存されている。製作に当たっては、オリジナル楽器の調査、 採寸に基づく研究論文や図面を参考にした。参考資料からだけでは不明確なことや、1台当たり500Kgを越える弦の 総張力によって楽器がどの程度変形しているかを調べるためにグラッシ博物館に赴いて調査を行った。できるだけオ リジナルに忠実に復元することとしたが、ペダル楽器の内部にはオリジナルにはない補強を入れて、弦張力による変 形を減少するようにした。また、ペダルの最高音をc1からd1に拡張した。歴史的にペダルクラビコードの例は他にも あるが、性格の異なる手鍵盤楽器を2段に配したのはこのモデルの特徴で同じ音域で両手が交錯するバッハのトリオ ソナタのような曲を演奏可能にしている。

篤志の方々のご寄付により、フォルテピアノが、西方音楽館 木洩れ陽ホールに設置されました。
クリストファー・クラーク1994年製
(A.ヴァルター1795年モデル)
故小島芳子愛用の名器










「3本足のルー」が完成しました。ルーが教えてくれたことは、「子供が育つ」ということ、さらに「人間が育つ」ということへの、励ましとヒントになりました。