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クーとの別れ
つとむとク―
でも、クーにとっては違っていたのです。チャーリーがいなくなると、クーはひん尿になってしまったのです。
クーにとっては、ある日突然、何の前触れもなく、大好きなチャーリーが消えてしまったことになります。
実は、ク―とチャーリーは大の仲良しでした。性格も、気品ある雰囲気も、2匹は良く似ていました。2匹はじゃれあって良く遊んでいました。
傷ついて、小さくて、いじけているルーは、クーにとっては対象外。つとむはどちらかというと苛める相手。力関係においても、性格的にも、チャーリーとがしっくり馬の合う名コンビだったのです。
抱っこが大好きなクー。私たちは、クーのショックを少しでも和らげようと、これまで以上にスキンシップを図りました。その甲斐あってか、ひん尿は1,2週間くらいで治まったと記憶しています。
そんな繊細なクーですが、いつまでも我が家に置いてやることはできません。そうかと言って見ず知らずの、どんなふうに世話してくれるのか分からない人の元に行かせるのはとても心配です。そこで、私の兄夫婦に、飼ってもらえるようアピールしました。が、ダメでした。そうこうするうち、クーはどんどん成長していきます。もう限界!と、とうとうペットショップに出す決意をしました。
常日ごろ良く利用しているペットショップに、お願いすることとなりました。夫が運転する車に、私はクーをしっかり抱っこして座り、着くまでのほんの20分、やさしく体中をなでてやりながら過ごしました。これでお別れ、と思うと、長くて短い20分でした。
予めお店にはお話ししてあるので、引き渡す時は、あまりにも簡単に、あまりにもあっけなく、手渡してしまいました。別れ際に「クーちゃん元気でね!」と頭をなでてやりながら、涙が溢れてしまいました。3カ月半必死に世話をし、我が子同然の存在になっていました。しかも、どこの、どんな人に飼われるのか、まったく見当もつきません。スキンシップが大好きで、抱っこされるのが大好きで、チャーリーがいなくなっただけでひん尿になってしまう繊細なクーです。ペットショップの狭いガラスケースに入れられて、寂しい時を過ごしたら、それだけで心も体も病気になってしまうのではないかしら?と思う
と、いたたまれませんでした。
帰路の車の中では、さっきまで抱っこしていたクーの温かい感触が両腕、胸に残っています。我が子と引き離されたような虚しさに、涙が止まりませんでした。