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横山博 ピアノリサイタル in まつぼっくり
2011年4月10日
モーツアルト ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 vol.1 デュルニッツ・ソナタ
横山博 ピアノリサイタル in まつぼっくり
ピアノの先生が同じ(堀江真理子さん)でしたので、数年前から「才能がある」と噂には聞いていた横山博さん。演奏を聴くのはこの日が初めてでした。
コンサートプログラムで、モーツアルトのピアノ・ソナタというと、休憩前、前半のプログラムに、軽やかな優美な雰囲気を添えるために、指ならし的な意味も含めて、置かれることが多いかと思います。ピアニストも聴衆も、興が乗ってきた休憩後、後半のプログラムには、ロマン派の大曲が堂々と演奏され、コンサートは締めくくられる。そんなコンサートの場合、モーツアルトの曲は、演奏する側も、聴く側も、まだ、その場の雰囲気にも慣れないまま、何となく終わってしまった、ということが多いような気がします。
私の乏しい経験からは、モーツアルトのピアノ・ソナタというのは、そんなプログラムの中での演奏が多く、折角期待して聴きに出かけても、期待にそぐわない場合が多かったのです。
この度の横山さんは、モーツアルトのピアノ・ソナタばかり、しかも、モーツアルトの深さが増し加わる後期のソナタならいざ知らず、最初期のソナタばかり6曲続けての演奏です。期待と、期待が裏切られたらどうしよう!という不安と、両方抱えて、2階席に座りました。
第1番が始まると・・・ただもう、聴いてびっくりしました。 今、ここで、新しく生まれたかのように、モーツアルトをお弾きになります。
モーツアルトの魅力を、「ここはどう?じゃあここは?」と、余す所なく、聴かせて下さいます。モーツアルトの音楽の奥深くに脈々と流れている鉱脈を掘り当てて、その魅力を鮮やかに目の前に浮かび上がらせます。音楽は耳で聴くものです。でも、音楽がまるで目に見えるようです。
オーケストラの壮麗な響きを眼前に顕すかと思えば、繊細で優雅なチェンバロを思わせる細やかな音の群れ。そこここに、機知に富んだ音のあしらい。2度目に現れるフレーズは、実におしゃれに変奏されています。
こんなに生き生きとしたモーツアルトのピアノ・ソナタを聴くのは初めてでした。モーツアルト本人だったら、きっとこんな風に弾くのでしょう!とは、褒めすぎでしょうか?
まだ30歳、宇都宮市在住。音楽におけるいわゆるエリートコースを歩んでこなかっただけに、変に型にはまったところの無いのが、大きな魅力と思いました。彼の学びは現在進行形。小さく纏まることなく、幅広く、深く学んで、これから先もずっと、自由に大きく羽ばたき続けてほしいです。
■今後のコンサート
- ・Vol.2 6月19日 18:30 ~ in まつぼっくり(チケット完売)
- モーツアルト ピアノ・ソナタ 第7番-第12番
- ・Vol.3 10月2日 18:30 ~ in まつぼっくり
- モーツアルト ピアノ・ソナタ 第13番―第18番
ご予約・お問い合わせ
kay.concert@gmail.com
028-688-3220 まつぼっくり