美しく繊細なチェンバロの音色、やさしく語りかけるフォルテピアノ(モーツァルトやベートーヴェン時代のピアノ)、柔らかな音色の小型パイプオルガン等々、西方音楽館には、やさしい音色の楽器が揃っています。小さなお子さんが初めて出会う生の音楽は、激しく活発な音楽より、やさしくやわらかな音楽の方が向いていると思っています。
ストレス社会、スマホ脳が問題視されている現代、やさしく心に語りかける生の音楽は、これから成長する子供たちの心にやわらかく、深く浸透し、やがて過酷な社会に投げ出された時の心のオアシスになると思っています。
現代においてはほとんど消滅していますが、子供たちの間で、あるいはお年寄から、連綿と伝えられ続けてきたわらべうたは、日本古来の旋律と言葉で、小さな子でも体に染み入るように覚えやすく、心と体によくなじみます。リトミックが外から与えられる音楽とすると、わらべうたは内から溢れる音楽となり得ます。
のんびりした私がのんびりした音楽で子育てしても、息子はロックのドラム、娘はクラリネットと、長じて自分に合った大好きな音楽を見つけ、超速い、複雑なリズムの音楽も、上手にこなせるようになっていますので、音楽教育の始まりがわらべうたでも大丈夫です。
誤解を避けるなら、わらべうたは、決してゆったりした歌・遊びだけでなく、かなりスピーディで活気ある歌・遊びもたくさんあります。
わらべうたで親子が触れ合って楽しく遊んだり、膝に抱かれて美しい音楽を聴いたり、お母さんやお父さんの愛情あふれる温もりの中での体験は、幼い子供たちの記憶の底に刻まれ、大人になっても、年老いても、辛い時、悲しい時、心が帰る場所となります。
コロナ禍のため、定員は少人数に制限(定員10名)しますが、ぜひ、体験しにお出かけください。
[2021年7月23日小山まるごと新聞掲載文]